建築士カトーのヒトリゴト

改正建築基準法(8)

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施主様・施工側共に改正建築基準法を理解しましょう。

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一度終了の予定の建築基準表改正の話でしたが、あまりに反響が大きいのでさらに話を進めたいと思います。

今後、建て主へ建築基準法改正の影響を十分説明する必要があると、建築業界では考えています。

その内容は、建設会社、住宅会社の社員でも完全に把握している社員は少ないでしょう。完全に把握というよりも、大まかに把握していることも、幹部社員と関係社員の間だけでないでしょうか。

これから建物をたてる計画のある方(今後施主となられる方)は良く理解していかないと大きな計算違いが起きる可能性が大きいです。

8月号の日経ホームビルダーによると、横浜市で改正後提出された住宅等小規模物件の確認申請30件のうち受理されたのはわずかに4件と報告しています。

住宅関連で大きな現状をまとめました。

1. 確認申請が通らない
確認申請を提出する前に慣行として行われてきた style="color:#FF00FF;">受理前の補正指導が禁じられました
提出した確認申請に法的不適合があるのはもちろん、書類に不備(必要な書類が足りないなど)があれば確認申請再提出となります。
再提出となれば申請費用その都度毎回必要となります。

2. 確認申請の差し替えは禁止
申請後に施主が間取りを変更した、着工してから予定していた部材が変わったなどの場合「計画変更」の申請をしなければなりません。
計画変更届けの確認がおりるまで現場は止まる ことになりかねません。
構造計算適合判定機関に廻るような物件では最大70日申請がおりるまでにかかる可能性があります。大げさではなく35日では無理だと関係筋が言っています。

3. 変更減額案(VE案)の提案が難しい
上記の理由で、今後確認申請受理後に変更行為が難しくなります。
今まで、施主と設計変更して工事金を下げる行為はVEと言って通常におこなわれてきました。企業からは、適確なVEを出せる建設会社が優秀な技術力を持った建設会社との評価も高かった。
しかし、申請受理後の変更は上記の理由で現場がストップする可能性が、工事現場が大きければ大きいほど高くなると考えられます。
「VE提出=工期変更」の可能性が高いのです。
ここで大切なことは、工事関係者が「どこまの変更ならば、計画変更に成らない」という建築基準法の関する知識が必要と成ります。
「設計管理者に相談無く、工事担当者が施主に提案する」と言うような事態が、担当者の簡単な考えで起きると、後日工期延長遅延損害金を求められる事態も発生する可能性があります。

4. 木造3階建てが当分建てられない
構造計算ルート(構造計算手法の種別のフローをルートと言った表現で言っています)が見なおされた関係で木造3階建て住宅の確認申請を行うことは難しい状況と日経ホームビルダーでは忠告しています。難しい専門的理由は省きますが、新ルートに対応した計算ソフトが国内にまだ発売されていないこと理由です。

5. 契約書の見直し
設計施工一貫請負契約を結ぶ場合、契約書には引渡日を記入します。
しかし、確認申請が何時降りるか分からない。プランが煮詰まらない状態で契約を急げば竣工が遅れて、遅延延滞金の要求が起きる可能性があります。
契約書に特約事項を設ける事も検討しなければいけないでしょう。お施主にもしっかり現状の建築基準法改正後状態を把握して頂いて、相互に協力して着工にこぎ着ける必要があります。

今後、建て主様に今回の建築基準法改正を知っていただき、設計変更が困難になったことを特に理解していただきたいと思います。

建てる側はしっかり説明をしていかなければいけないと思っていますし、また、社員にもしっかり建築基準法改正について勉強させていく必要があります。各企業には今回の建築基準法改正の細かい所まで社員に教育する必要があると思われます。これを怠る企業は、企業価値を下げることに成ります。

コストダウン目的にVEを進めるためにも、その前にお施主様、工事関係者共々今回の建築基準法改正について理解を深める必要がある と思います。

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