建築士カトーのヒトリゴト

改正建築基準法(3)

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建築士制度の改正(2)

昨日に引き続き改正建築士法について話します。

昨日は(1)建築士受験の受験資格の見直しについての改正の要点を話しました。

今日は、建築士法の改正で、
(2) 建築士に対する定期講習受講の義務付け
について話します。

改正の趣旨が国土交通省住宅局建築指導課編集の「平成18年度改正建築士法の解説」に明記されています。

それによると、 「建築士には設計及び工事監理の業務独占権限が付与されており、その業務に従事するに足りる十分な知識及び技能を有している必要がありますが、近年の建築技術の高度化に伴い建築物の高層化、大規模化、複雑化等が進展し、建築基準法令の改正等も頻繁に行われるなど、これにあわせて常にその知識を更新していかなくては、業務の適正な実施を担保し得ない状況となっています。
このため、それぞれの建築士が建築技術の高度化や建築基準法令の改正等に的確に対応できるようにし設計等の業務の適性な実施が担保されることとなるよう、建築士に対し一定期間ごとの講習の受講を義務付けることとします。」
とあります。

建築士の定期講習の義務は資格を持っている全ての建築士が対象となっているのではなく、建築士の資格を持っている建築士のうち、建築士事務所に所属する建築士が対象となります。

建築士事務所の登録をしていない工務店に勤務している場合講習の義務はありません。
建築士事務所の登録をしている建設会社に勤務していても、設計・工事監理業務に従事せず、施工現場に従事している場合は受講の義務はありません。

しかし、当然、建築設計等を業務として行えないこととなります

講習は今のところ3年ごとに講習受講とする予定だそうです。したがって、法施行後3年以内に法が定める登録講習機関が実施する定期講習を受講する必要があります。

仕事上建築士として氏名を記載することなくとも、建築士事務所に所属していれば建築士として業を行っていることになりますので、定期講習の義務が付されます。

受講を促す注意を何度行っても定期講習を受講しないような悪質なケースは、建築士法違反として懲戒処分の対象として免許取り消しも想定されると、解説されています。

以上の
(1)建築士の資質・能力の向上
(2)建築士に対する定期講習受講の義務付け

でご説明した改正建築士法は、「今後建築士の業を行うものはその能力を有することが必要である」 言っている訳であり、「その能力の規定の為に、受験要件を決めたり、講習受講を義務付けている」訳です

すなわち、建築士の資格を持っているが、形だけの有資格者と、業を本に行っている建築士とを区分けする意味があるのだと思います。
建築士協会は以前からその差別化の為の活動を行っています。

話は、現実な場面に移りますが、
私は、不動産関係者や、住宅販売会社、デベロッパー会社の中で、建築士の資格がまだ無い人や、元来建築士の受験資格すら無い人が、建築計画を行っているケースが非常に多いことが気になります。

経験上の表面的知識でだけ基本計画を行い、部下や下請け設計事務所に本設計を行わせるケースです。
そのような無資格者との基本計画打合せの場面では、是非、その建設、工務店に会社で講習を受講した建築士がいて、あなたの担当として基本計画を行っており、担当営業マンが窓口を努めているだけである事を確認されることをお勧めします。

これからの建築業界では無資格者が市販のソフトでプレゼンして、基本計画を行っているようなことは許されないと思います。
すばらしい高品質の建物が売りの会社に建物の建築を依頼するから安心ということではなく、有資格者の計画、実施設計だから安全とまずそこから入ることが肝要です。

平成21年度から、新要件での受験資格での試験がスタートします。
要件がはずれる方は、今年19年度と来年20年度が最後の受験チャンスになるのかもしれません。がんばって建築士合格にチェレンジしてください。

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