建築士カトーのヒトリゴト

風の通る家1

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日本の家

  

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最新型のエアコンをもってしても、涼風に勝る心地よさは得られません。


家の中に、涼しい風を通すことの効果は大変大きい。


古来日本の家屋は、高温多湿のこの気候に対応するため、冬の寒さ対策より夏の暑さ対策に重点を置いた、家中に風を通す設計になっています。

 

床下は真っ直ぐ風が抜け、周辺に基礎の立上りもありません。ケンドンのような、立てルーバーのような格子が巡らされていて、それを外すと農機具や稲干し台の竹などをします倉庫代わりにもなっていました。

 

玄関は土間で、真っ直ぐ背戸(せど)に向かって風の通り道になっていたりします。

 

囲炉裏端から上がった煙は風と共に上昇し、天井の隙間を通って茅葺き屋根の間から抜け出ていきます。

 

居間は、風を各部屋の抜けさせるため、欄間ができました。

意匠を兼ねるため、透かし彫りなどが発達しました。

二条城のように37cmの一枚板でありがならの裏・表別の絵柄を掘る見事な物まであります。

 

元来日本の家屋は、夏の高温多湿対策に力を入れてきたのです。

そして今この温度上昇の時代には、夏風が通り、遮熱にも力を入れて、輻射熱をカットし、なおかつ冬暖かい家造りが、本当に家造りだといいたい。

 

高気密高断熱ばかりをうたい、コストの面から家中高気密にしながら、全館空調の提案を行わないハウスメーカーは大間違いです。


高気密高断熱住宅をうたいながら、「個別エアコンで空調はOKです」なんて会社やメーカーさんがいたら、それは家を売ることが目的で、家を建てることを目的としていない悪徳業者と私は思っています。
実は多いのです。


冬絶対重視の家造りならばそれもいいのですが、今の日本では夏対策がいい家造りの評価の原点です。


高気密高断熱にしながら、全館空調にはお金がかかると、個別エアコンですませてしまう。

納戸や、トイレ、廊下の突き当たりでは空気が止まり淀んでいます。熱くてたまりません。折角の高気密高断熱住宅なのに納戸のまで風が行きません。空調も行きません。湿気が溜まりカビが発生してしまうのです。


考えてみてください。


今新築の家で、寒くて仕方がない家がそうあるでしょうか。今まで子供の頃から住んでいた家が寒くて、そう勘違いしていませんか。ちょっと暖房を付ければ普通快適に過ごしているはずです。


しかし、今の家でも夏の厚さ対策をしていない、風の通り道設計していない家は、夏暑くていられません。昼間も夜も冷房を掛けっぱなしのお宅も多いのではないですか。


元来日本人は厚着をしたりして寒さには強いのですが、夏のうだるような暑さには対応しきれていません。裸になるにも限度もありますしね。

 

そこで、風の抜ける家造りと遮熱の考え方が大切に成ってくるのです。

続く

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